メーカー各社の機器

 

前項からの補足ですが、ドルビーアトモスは簡単にスケーリングして再生が可能です。スケーリング(scaling)とは、「スケールする」といった言い方をしますが、対象の規模に応じて増減、拡大・縮小するなどの意味です。主にメディア技術の分野で使われ、画像、動画などを画面表示する時に、画面や表示領域の状況(広さ)に応じて自動的に拡大・縮小することです。

 

このスケーリングがドルビーアトモスでは簡単にできるのです。サウンドトラック構築には多層化アプローチを用いていますが、ベース層は、従来のチャンネルベースの手法を組み合わせ、まずは動きがない環境音で構成されます。この上に重ねていくのがいわゆる「動き」のある音響層です。ここでスクリーン上の映像に連動するように音を配置するわけです。

 

各社AVアンプメーカーからも対応機の発表が相次いでいます。何しろ久し振りに登場した新しいサラウンドフォーマットです。各製品ともかなり気合いが入っているわけです。そこで気になるのは一般家庭で果たしてどこまで実力を発揮できるかという点です。

 

パイオニアのドルビーアトモス対応AVアンプが「SC-LX58」ですが、会社側でのコメントでは、ドルビーアトモスの特徴は、高さ方向を含む立体的な音響空間にあるとしています。これだけだと従来のサラウンドフォーマット、DSP処理とさほど変化がないように感じるかもしれませんが、ポイントはオーバーヘッドスピーカー(トップスピーカー)という、いわゆる「天井スピーカー」を実際に配置する点にあるとしています。これによって理想のドーム型音場を形成できるようになるという。

 

現にパイオニアの視聴室では、天井に6つのスピーカーが設けられており、ここでいろいろな設置方法を検証できるようになっています。